Wide Learning™の4つの特徴

AIの社会実装と浮き彫りになった問題点

現在、脚光を浴びているAI技術は、膨大なデータを高性能のコンピュータに読み込み学習を行うDeep Learningです。Deep Learningは脳神経回路網の機能を模倣しており、画像や音声などを高精度で認識できます。

しかし、AIの社会実装が進むにつれて、「判断根拠が明らかでない」「正しい判断をくだすために膨大な量のデータが必要」「ハードウェアコストが大きく、実時間で処理するには高性能な並列計算機が必要」といったDeep Learningの扱いにくい側面が明らかになってきました。

Deep Learningと比べて、Wide Learning™には以下の4つの特徴があります。

  1. 判断根拠の説明が可能
  2. 重要な仮説を漏れなく発見可能
  3. 少量のデータでも高精度な判断が可能
  4. アクションプランを自動で提示可能

1.判断根拠の説明が可能

Deep Learningの1つ目の問題は、ブラックボックス(※1)のため判断根拠が明らかでない点です。

せっかくAIが結論を出しても、その根拠が理解できなければ、医療診断や金融投資などへの活用は、ちょっと怖く感じるかもしれません。

それに対して、Wide Learning™は、人間にも解釈可能な仮説を用いて答えを導き出しているため、途中の計算過程や最終判断の結果を論理的かつ客観的に理解しやすく、説明可能であるという特徴をもちます。

このような特徴から、Wide Learning™は、ブラックボックスなAIとは対極にあるXAI(Explainable AI:説明可能なAI)の1つとして位置づけられています。

※1:ブラックボックスとは、内部の動作原理を外部から確認できず、結果のみを利用できる装置やツールのことです。


2.重要な仮説を漏れなく発見可能

では、Wide Learning™はどうして説明可能なのでしょう?

その理由は、入力データに対する仮説空間において、すべての仮説を網羅的に検証し、重要な仮説(我々はナレッジチャンクと呼んでいます)を漏れなく発見するからです。

また、仮説空間の中に重要な仮説が1つもない場合は、「ない」ことを厳密な意味で証明できます。

富士通研究所が、超高速な組み合わせ計算技術を開発

ここで、Wide Learning™が扱う仮説空間は、入力データにおけるデータ項目のすべての組み合わせになります。

データ項目のすべての組み合わせを検証するためには、天文学的な数の組み合わせを効率よく計算する必要があります。

富士通研究所は、発見科学(※2)の研究に長年取り組む中で、超高速な組み合わせ計算技術を開発してきました。

※2:発見科学とは、1990年代に九州大学の有川節夫教授(現・名誉教授)が提唱した研究分野。コンピュータを用いて仮説や知識を発見するための理論研究および実践研究を展開している。


3.少量のデータでも⾼精度な判断が可能

Deep Learningの問題の2つ目は、コンピュータが正しい判断をくだすために、膨大な量のデータが必要なことです。

たとえば、Deep Learningで動物を識別できるようにするためには、学習用の画像データや写真が少なくとも数千件から数万件以上も必要だと言われており、このような膨大な量のデータを用意できない場合、Deep Learningを使っても満足な結果が得られない可能性があります。

先ほども説明したように、Wide Learning™が探索して検証する仮説空間は、入力データにおけるデータ項目のすべての組み合わせです。

したがって、大量の学習データを用意できなくても、手元にある少量のデータから十分に大きな仮説空間を構築し、重要な仮説を網羅的に発見できるのです。この特徴は、Deep Learningでは得ることができないメリットです。

たとえば、工場の製造ラインで不良品の発生原因を分析したいとしましょう。ところが、一般的には不良品はめったに発生しないので、「不良品発生時のデータを大量に集めるのは難しい」という問題にぶつかります。

しかし、Wide Learning™は、数十件から数百件程度のデータさえあれば、不良品にのみ当てはまるような重要な仮説を発見し、不良品の発生原因の分析を始めることができるのです。

【補足】以下では、AIに詳しい方むけの比較実験を載せていますので、興味のある方はご覧になってください。
Wide Learning™とDeep Learningとの比較
Wide Learning™と他の主要なAIとの比較


4.アクションプランを⾃動で提示が可能

最後の特徴は、Wide Learning™の学習結果を元に、実際のアクションが実行可能な点です。

何度も説明しているように、Wide Learning™は仮説空間におけるすべての仮説を網羅的に検証しています。

この情報を用いることで、たとえばデジタルマーケティングにおいては、「購入率の低い仮説」と「購入率の高い仮説」の差分を計算し、その差分がもっとも顕著なもの(=購入率の上昇幅が一番大きなもの)を「アクションプラン」として提示できるのです。

富士通のマーケティング部門による実験では、マーケティングの専門家が立案したアクションプランよりも、Wide Learning™が提案したアクションプランの方が、顧客のカバー率と平均購入見込み率が共に高いことを確認しています。

このように、Wide Learning™は、現場における施策立案や意思決定を強力にサポートできるのです。

まとめ:Wide Learning™とDeep Learningの比較

最後に、Wide Learning™とDeep Learningの違いを下の表でまとめます(本文では紹介しきれなかったポイントも載せています)。

動作原理の違いから得手不得手はそれぞれありますが、Wide Learning™の方が使いやすい場面もたくさんありそうです。

  Wide Learning™ Deep Learning
動作原理 科学的発見のプロセス 脳神経回路網の模倣
得意なデータ 表形式のデータ 画像や音声
データ量 数十件~数百件から可能 少なくとも数千件から数万件以上
説明可能性 XAI(説明可能なAI) ブラックボックス
アウトプット 分類、予測、アクションプラン提示 分類、予測
ハードウェアコスト 汎用CPUマシン(ノートPCでもOK) GPUのような並列計算機

【補足】以下では、Wide Learning™とDeep Learningの比較実験を載せていますので、興味のある方はご覧になってください。
Wide Learning™とDeep Learningとの比較


Trial Toolを使用してみる

本サイトでは、Wide Learning™の体験ツールを用意しています。

科学的発見のプロセスから着想を得たAI「Wide Learning™」をぜひ体験してみてください!